BOB FERREL

BOB FERREL
やあ、困った! 困った!
資料がなんにもないのである。
持っている3枚のリーダー作にも経歴が書かれていないし、ネットで本人のバイオグラフィーを調べようとしても載っていないのである。
分かる限りのことを綴ってみよう。
ボブ・フェレルはこれまでに3枚のリーダーアルバムを吹き込んでいる。
1 BOB FERREL QUARTET/TIME TUNNEL(BFM-001)1996
2 BOB FERREL QUARTET/BON VOYAGE(BFM-002)1997
3 BOB FERREL-TED CURSON (JAZZBANK MTCJ-1044)2002

1枚目、2枚目はレコード番号からも分かるように自費出版である。
3枚目は日本のマイナーレーベルからリリースされた。
単刀直入に言ってしまおう。
フェレルの音楽を聴いているとそんな経歴とかなんとか細かい事はどうでも良いと思ってくる。 音である。曲のよさである。
この人本当にトロンボーンが好きなんだろうなぁ・・・そう感じずにはいられない音。太くてツヤがあり決して重くならず、リズムにふんわり乗っていく軽やかさももっている音色といったらわかるだろうか? 派手すぎず、かといって目立たないわけではない、ちゃんと自己主張している音。そして音の大きさ、パワー。
やっぱり、絶対的な体型の違いってあると思う。骨格や筋肉の量、肺活量が違うのである。日本人のプレイヤーが10の力のうち8くらいで吹いているところを5か6くらいの配分で吹いているんじゃないだろうか? 
フランク・ロソリーノ、ビル・ワトラス、カール・フォンタナ、クリフトン・アンダーソン、ジム・ピュー、名プレイヤーは、全員大きな体してるのでは? 
特に管楽器でもトロンボーンはジャズで使われる楽器のなかでも肉体的要素、身体的アビリティーが問われる楽器なのではないか。

このCDはスイングジャーナルのLPコーナーの広告欄に小さく写真が載っていたのを
全くの勘で購入したもの。LPコーナーで買ったんではなくて博多のキャットフィッシュレコードから送ってもらった。
一曲目のラテン調の曲にいっぺんに心を奪われてしまった。
コルトレーンのブラジリアやトロンボーンの名曲ラメントも入っている。
カルテットのメンバーは固定していてマイケル・コクレイン(P)カルビン・ヒル(B)ヨロン・イスラエル(DS)となっている。
マイケル・コクレインのピアノがソロでもバックにまわってもいつものように唄っていてとても素晴らしく、曲がふくらんでカルテット全体に伝わり一丸となったスイング感溢れるパーフォーマンスが繰りひろげられている。
だが、このCDの主人公はリーダー ボブである。
持ち前のパワーだけに流されず、細やかな音楽的交感をカルテットのメンバーとして、確固たる主張をもって統率し、引っ張って曲を完結させる手腕は賞賛してよいと思う。
マーサ・エリントン率いるデューク・エリントン・オーケストラにも在籍していたことがあり、今までにエラ・フィッツジェラルド、サラ・ボーン、ナンシー・ウィルソン、ディジー・リース、ケニ-・ギャレット、マルグリュー・ミラー、ベニ-・パウエル、スライド・ハンプトン、チャーリー・パーシップ、マーカス・ベルグレイブ、ジョー・ワイルダー、エディー・ヘンダ-ソンなどと共演歴がある。
EDISON PROJECTというのがあり、100年以上前のトーマス・エディソンが開発した
ワックスシリンダーに直接録音した演奏が2曲収められている。
決していい音じゃないが、思ったより悪い音でもない。
1800年代末にタイムスリップさせてくれる音・・・

2004/8/8




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